男ウララの旅ぶろぐ

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5日間のたこ焼き屋を振り返る

 

ゴールデンウィーク後半、5/2~5/6に小樽の商店街で、僕と小樽商科大学の友達の2人で、就職活動に必要な交通費✈を稼ぐため、たこ焼き屋の経営をしたので振り返りをしようと思います。

 

~4/22、試作会~

小樽で試作会。たこ焼き粉の配分、ネギ紅しょうがタコの大きさを共有し、たくさん焼いて練習。大学1年の学祭で作って以来のたこ焼き。ある程度きれいな球体にしないと売り物にならないがこの時60%くらいの完成度で、あとは慣れに期待することにした。このあと、例のジンギスカンデートへ。

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~5/1、開店前日~

僕はビラを作り終えたくらいで特に何もしなかったが、相方が北海道新聞の取材を受けていたらしく、たこ焼き屋の記事が掲載された。

~5/2、1日目~

僕は午前中、内定先の施設を卒業論文聞き取り調査と称し訪問。14時頃にたこ焼き屋に入り、ひたすら焼き続ける。試作の時と装置が異なり勝手が違う。僕も相方も売り物にならないたこ焼きを大量に排出した。お客さんは”新聞を見て来たよ”とたくさんの方に来ていただいたが、手際が悪くバスの時間の関係で購入を断念した方や、質の低いものを渡さざるを得なかった方もたくさんいたと思う。ただ、その割に味の評価はそこまで悪くはなかった。

~5/3、2日目~

「まだ2日目か・・・」前日、僕は8時間、相方は12時間以上ぶっ通しで働いたためすでに疲労がピークに。たこ焼きの失敗率はある程度改善され、利益率は向上。この日も新聞を見て来た方がたくさんいた。常に注文が入るため、3時間に1度のペースで一度店を閉め仕込みを行った。栄養補給という概念を忘れ、自作のたこ焼きの味見をすることもなかった。2人とも神経質になり、なんか言い方が感じ悪いなあと互いに感じるように。なんでバイトではなくこんなものに手を出したんだろうと心底思った。

~5/4、3日目~

僕が札幌で面接があった関係で、開店時間を遅らせた。おかげで2人とも睡眠時間を十分に確保できた。また、思い切って昼ごはんの時間を確保しリフレッシュすることができ、まともなご飯を食べる重要性を痛感した。これらのおかげで心にゆとりができ、相方は僕に(内容は妥当だが)心無い言い方をしてしまったことを、僕は周りを見て動くことが苦手で手際が悪いことを謝った。互いに自分の欠点を自らさらけ出すことで信頼関係ができ、より前向きに店のオペレーションに取り組めるようになったと思う。

この頃から、新聞を見た方だけでなく、facebookの投稿を見た方やリピーターが増えてきた。また腕が上がったためか美味しいと言ってくれるお客さんが増えたように感じた。結構外国の観光客の方も買ってくれる。欧米系よりアジア系のほうが受けがよかった印象。

~5/5、4日目 事件発生~

オペレーションがスムーズになり、たこ焼きのクオリティも上がり、生活リズムにも慣れてきた4日目、ある問題が発生する。それは「タコの値段が倍になった」。

儲けを出すためにやっているのだから原価率を上げたくない。今まで大きめに切っていたタコを小さく切る。この判断に5秒とかからなかった。味見することもなく。

売上は3日目と同じくらい。いよいよ明日で終わりか~と思った午後10時前。

一人の中年の男性が怒った様子で店へやってきて、怒りをあらわにした。

「1日目、新聞に外はかりっと、中はとろっと って書いてたから買ってみたけどなんだあのたこ焼きは!!」

確かに初日、売り物としてはレベルが低すぎるたこ焼きを提供していた。外はかりっと、中はとろっと の言葉はこちらから伝えた文言ではないらしいが、それでも質の低さの指摘はごもっともである。

「んで、今日、また買ってみたわけだが」

なんで不満を持ったたこ焼きを再び買ったのだろう?

「なんだこのタコは!(タコを実際にほじくり出して)小さすぎるだろう!」

・・・確かに小さいけど。

「商売なめてるのか!!!」

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「・・・・・・頑張れ」男性は立ち去った。

 

 相方は「甘かった」といい涙を流した。2人ともオペレーションに慣れてきて、なんだ意外と簡単に稼げるじゃないか!と気持ちがちょうど緩んでいたところでの出来事である。涙は自分たちの商売に対する在り方の甘さに気づかされたことによる悔しい思い、またそれを厳しくも愛を持って指摘してくれた男性への感謝の思いであふれたものであった。

僕はというと・・・海外ビジネス武者修行プログラムの最終プレゼンを思い出した。

成果が出ず、プレゼンにならない。形だけプレゼンが終わった後のファシリテーターの講評。雑な切り取られ方をしたビジネスカードを手に取り、怒りの一言。

「こんなもん、ビジネスでもなんでもない!!!!!」

ぶちまかれたカード。凍り付く現場。記憶が生々しすぎて思い出したくもない。書いてて涙が出そうになるけど、あり方がなってないとこんな結末を迎えてしまうという教訓として、忘れてはならない出来事である。

これと今回の事例は似ている。あり方の甘さをつく一言。

今回のたこ焼き屋は、一定の成果を出せた。小樽市民のみならず、外国人や子供などたくさんの方に直接間接とわず「美味しい」と言っていただけた。その結果として利益も十分に上げることができた。

ただ、それでも十分ではなかった。たとえば初日、原価率が悪化することを恐れ出来が悪いたこ焼きを無理やり提供するべきではなかった。心のどこかに、学生だしたこ焼きらしいものを作れば大丈夫だろうという甘えがあった。またタコの仕入れ値が上がったからタコを小さくするという、値段据え置きで質を下げる作戦は実際の企業でも見られる経営戦略であるしそれ自体が間違いだったとは今でも思わない。僕たちは利益を得るためにやっているのだから原価率を気にするのは当然だ。某企業のように食品偽装やデータ改ざんをしたわけではないし(神戸出身の者として悲しくなりましたよ 涙)。

ただ、僕たちはタコの大きさを変えて商品の味見をするという手間を惜しんでしまった。

僕たちはクレームを受ける前にお客様の立場になり、タコの大きさを変えたらどれほど満足度が変わるのか、確かめてから改めて小さくするべきか考えるべきだったのである。原価率だけを考え即決するのではなく、実際に商品を試して考えるのが正しいあり方だと学んだ。この考え方は今後必ず活きると思う。

 ~5/6、最終日~

というわけで、クレーム翌日、大きさを戻したたこ焼きを営業開始前に自分たちで食べ、全然満足感が違うことに初めて気づいたのである。また1件のクレームの背後には、クレームをわざわざ口にはしないまでも不満を持ったお客様が10人、20人といるはずだから、タコの大きさを戻すべき、という判断をした。GW最終日ということで観光客は少なく、また天気が悪かったため小樽市民も少なかった。材料のキリの良いところまで販売し閉店した。

 

まとめ

やっぱりビジネスはあり方が大切。いくら美しいたこ焼きを作るテクニック(やり方)が上達しても、こまめに味見をするという姿勢(あり方)があってこそだと思った。

また今回は学祭の出し物ではなく、商店街という公共の場において、しかも新聞に掲載してもらっている以上、学生とはいえ立派な商品を出す社会的責任があると感じた。

細かいところでは、1,2日目は新聞で知った人が多く、3日目以降はfacebookの投稿を見た人やリピーターが増えた。小樽のような高齢化が進んだ地域では予想以上に新聞は強力な広告塔であり、SNSは新聞で捕まえきれなかった若い顧客への広告として有用であることを実感できた。またfacebookで新聞記事つきの投稿を見てきましたという方もいて、メディアの掛け合わせも高い効果がありそうだ。

 

最後になったけど、たこ焼き屋をするにあたって必要な機械、原材料の調達や日々の会計をやってくれた相方に、そして暖かく応援してくださった小樽市民の皆さまに感謝申し上げます。小樽は初めて観光で来た時から好きだったし、何度も様々な用事で訪れてきた街でしたが、市民の暖かさにふれいっそう小樽が好きになりました。